こんにちは。 2016年6 月に発売した、「〜ビールにまつわる言葉をイラストと豆知識でごくっと読み解く〜 ビール語辞典」の著者兼イラストレーターのリースえみです。 NY のブルックリンと、京都を拠点に活動しています。ここでは NY の街で出会える、ビールやその周りのカルチャーについて、ビール語辞典に出てくる豆知識や歴史なども絡めてご紹介していきます。

Emmy

少し時間が経ってしまいましたが、10 月といえばオクトーバーフェスト。厳密には 9 月半ばから 10 月の一週目とされていますが、少なくともニューヨークでは、 10 月中はオクトーバーフェストビールを飲みに行くことができます。

今年はバタバタしているうちに出遅れてしまいましたが、 10 月の終わり、「まだ間に合う! 」と、ビール語辞典でも紹介したお店のひとつ、マンハッタンのウエストビレッジにある「 Lederhosen (レーダーホーゼン)」に駆けこみました。今日はだいぶ寒くなってしまったニューヨークから、恋しい秋のビールの愉しみ方をお送りします。

ビール語辞典ではスペースが足りず、十分に紹介できませんでしたが、ヒップスターをターゲットにしたトレンディーなビールバーが増えていくなか、レーダーホーゼンは流行に流されない、どストレートなドイツ料理やドイツビール、そして雰囲気が味わえる貴重な場所です。

マーク・ジェイコブスやモノクル・ショップなどハイソなお店が立ち並ぶウエ ストビレッジにありながらも、価格はどれも献身的で、何を頼んでも美味しい。どの街にもトレンド競争の表面下にある、飾らない、リアルなお店がありますが、レーダーホーゼンはそのひとつ。

本日のスープ(ホワイトビーンスープ) 3 ドル、 5 ドルのソーセージは 2 本で 8 ドル、 5 本で 18 ドル (大きい)。アペタイザーは 3 〜 6 ドルで、ポテト やサワークラウト、シュペッツレなどが選べるコンビネーションプレートは 14 〜 23ドル(大盛り)。最初にもらえるバスケットいっぱいの薄切りのパンはサー ビスです。もちろん、肝心のドイツビールもお手ごろ。生ビールは 500ml のシュタインで 7 ドル、ハッピーアワーなら 5 ドル。この価格帯なら思い切って ビールブーツ( 2 リットル)を頼んでしまう人がいるのも納得ですね(一人で 飲み干したことがあります)。

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今回はハッピーアワーを満喫しようと 6 時前に到着してしまいましたが、ビアガーデン風のホールにはすでに、常連らしき立派なガタイの男性が 3 名、当たり前のようになみなみのビールブーツと数種類のソーセージを楽しんでいます。 レストラン同士の競争も高く、敷居の高いお店も決して少なくないニューヨークでは、ほっとする光景かもしれません。

「建設のお仕事でもしているのかな? あのガタイはどうやって生まれたんだろう?詮索しながら友人と 2 人で隣のピクニックテーブルに座り、 4 種のオクトーバーフェストビール から、シュパーテンとヴァルシュタイナーのオクトーバーフェストビールを 1 杯ずつ注文します。

Emmy

シュパーテンのオクトーバーフェストビールは、コクと苦味のバランスがとれたまろやかなビール。ヴァルシュタイナーはハチミツのような風味があるものの、さらさらと飲めるビールです。 9 月にアメリカに来てから、主にパンチの効いたアメリカのクラフトビールを飲んでいたので、ドイツビールの飲みやすさをとても新鮮に感じます。

 

お腹も覚醒したところで、今度は料理を注文。食べたことのないものにも挑戦しようということで、シュペッツレ(ドイツのパスタ)に赤キャベツのサワークラウト、ロールモップス(ニシンの酢漬けを玉ねぎと人参のピクルスに巻いたもの)、仔牛と豚のヴァイスヴルストと、牛肉のカレーヴルストをオーダー。赤キャベツは臭みが無く、甘みが美味しい。鮮やかな色が食欲をそそります。

Emmy

ビアホールの壁にはなんとも言えないタッチで描かれたドイツアルプス、ピクニックテーブルにはパラソルとギンガムチェックのテーブルクロス。 味わい深いドイツソーセージをドイツビールで追いかけていると、ときどき、どこにいるのかよくわからない感覚に陥ったり。

初めて食べたロールモップスは酸味と魚の脂のバランスが丁度良くて、しめ鯖に近い感覚で食べられるのでおつまみにはぴったりです。薄いチーズ味のシュペッツレも、味の濃い他のおかずからの良き休憩。最初は存在が薄いように思えたのが、しっかりとしたかみごたえもあって、知らず知らずのうちにじわじわはまっていきます。

人も大分増えてきたハッピーアワーの終わりごろ、 2 杯目にはヴァイエンシュテファンのフェストビアーを注文。ふんわり漂うバナナの香り(フェノール臭)でがらっと雰囲気が変わり、気持ちもリセ ットされます。

夜はまだまだ続きそう。

 

◼︎『ビール語辞典』について
毎日何気なく飲んでいる、でも実はとっても奥深い文化や歴史の塊であるビールの世界に一歩踏み出したい人に向け、ビールにまつわるあらゆる言葉を
豊富なイラストとともにまとめた絵辞典。リースえみ著、瀬尾裕樹子監修

ビール語辞典: ビールにまつわる言葉をイラストと豆知識でごくっと読み解くビール語辞典